舞いあがれ、バラモン凧!天空の草原を歩き、太古のロマンを感じる五島列島福江島のシンボルマウンテン鬼岳-1

舞いあがれ、バラモン凧!天空の草原を歩き、太古のロマンを感じる五島列島福江島のシンボルマウンテン鬼岳

2022.11.29

今回わたしたちは美しい草原が広がる鬼岳の特徴と秘密を取材しました。

美しく広がる大草原、鬼岳へ!

先日学校で新垣結衣さん主演の映画、「くちびるに歌を」を見ました。実はこの映画の舞台も「五島」なんです。
新垣結衣さん演じる音楽の先生と生徒が、映画の後半で、福江の町が一望できる見渡す限りの草原で、風に吹かれながら歌の練習をしていました。その一場面は、爽やかで清々しい気持ちになり、心に残る美しいシーンでした。

あの場所に行きたい!と顧問の先生に相談したところ、そこは「鬼岳(おにだけ)」という怖そうな名前の山でした。私たちは、その福江島のシンボルマウンテン「鬼岳」を訪れました。
標高315mの鬼岳は、その猛々しい怖そうな名前とは真逆の、お椀をひっくり返したようなまあるい形の山でした。

鬼岳は、福江港から車で15分程、福江空港からは車で7分程の場所にあります。駐車場から鬼岳の展望所までは、階段を使って、5分くらい。
鬼岳の中腹にある展望所までの階段はまるで「空への階段」を登っているようで、とてもうきうきわくわくした気持ちになりました。そして、登り終えた後に見えた景色は、草原が美しく広がるこれまで見たことのないような景色でした。
見渡す限りの大草原、壮大なスケールの鬼岳山体、見下ろすと人々の生活する街並み、教会、碧く輝く海、五島列島の多くの島々・・・。そんな風景を眺めながら、風に吹かれてみると、とても爽やかな気持ちになりました。
心が躍り、つい駆け出してしまいそう、そして映画のワンシーンのように歌いだしてしまいそう、そんな場所です。

鬼岳の特徴について

この鬼岳、実は火山なんです!
鬼岳をはじめとした火山を鬼岳火山群、福江島全体と福江島周辺の島々にある火山を福江火山群とよびます。
つまり、鬼岳火山群は福江火山群の一部なんです。福江火山群は地球の歴史から見るとつい最近の3000年前頃まで活動していた活火山です。(活火山、長崎県では雲仙岳と福江火山群だけ!)
鬼岳火山群は鬼岳と同じような11の火山からできたもので、特徴は【①粘り気が低い ②単成火山※1 ③流動性のある玄武岩質溶岩(ハワイ島と同じで、日本では珍しい!)】であることです。
 
「鬼岳が噴火し、その噴出物が重なってできた地層」の写真も撮影することができました。バームクーヘンのようなきれいな断面の地層を初めて見たので、とても感動しました!
私たちが生活する福江島は、そのような火山活動、大地の活動の上に成り立っているんだなぁと感じて、太古のロマンを感じました。

コラム

※1 単成火山って?-1

※1 単成火山って?

一度噴火し、小さい火山を発生した後は、二度と同じ火口から噴火しない性質を持った火山のことです。

\Point!/
福江火山群を入れても日本に3つしかない、日本ではとても珍しいタイプの火山です!

五島列島ジオチャンネル第1回「鬼岳の恵みについて学ぼう」

鬼岳が草原である秘密

なぜ鬼岳は「草原」なのか、疑問に思いました。鬼岳から見える周辺の山には木々が生い茂っているのに。

顧問の先生に聞いたところ、鬼岳は「山焼きをするから」との答え!
山焼きをして植物が何もない状態(裸地)になると、その状態から長い年月をかけて、次々といろいろな植物が生え、変化していきます。
例えば、裸地→コケ・地衣類→草本→ススキ草原→低木→陽樹からなる高木→陰樹からなる高木(極相林・クライマックス)というように移り変わっていきます。
このことを遷移といいますが、鬼岳では定期的に野焼きをすることで、この遷移を「草本・ススキ草原」のところで止め、美しい草原の景観を維持しているのです。

山焼きは3年に一度行われ、前回は2021年2月に行われました。
炎に包まれる鬼岳。とても迫力があります。この野焼きも消防署の方々や地域の消防団の方々の安全確保、支えがあって実現できるものです。次回実施される際は、この鬼岳の景色を維持していただいている多くの方に感謝をして、壮大なスケールの山焼きの撮影に臨みたいと思います。(もちろん、危険な区域には立ち入りません)


2024年2月24日(土)に鬼岳山焼きが実施されます!
実施時間や当日の交通規制について等詳細はこちらをチェック!

大空に、舞いあがる「バラモン凧」

鬼岳で凧あげをしている家族を見かけました。あげている凧は五島の伝統工芸品「バラモン凧」というものです。
その日あがっていたバラモン凧は、クルス(十字架)の形が入っためずらしいものでした。キリシタン文化が伝わる五島の特徴の一つだと思います。

秋からスタートした連続テレビ小説「舞いあがれ!」にも、バラモン凧が出てきます。
バラモン凧は、五島のお土産物屋さんなどで購入できます。取材で訪れた香珠子海水浴場の「五島椿物産館」で販売されているのを見かけました。(鬼岳から車で西に15分ほど行ったところにあります)

いま、私たちは授業でバラモン凧を作っています。自分たちで作ったバラモン凧が、五島の大空に舞いあがる日を楽しみにしています。
皆さんもぜひ、五島の大空の下、福江島のシンボル「鬼岳」で、バラモン凧をあげてみませんか?

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