It‘s almost spring! ~荒川温泉・五島沖鯨の骨のアーチ・山口酒屋・竈(かま)神社・カフェチルコロ~-1

It‘s almost spring! ~荒川温泉・五島沖鯨の骨のアーチ・山口酒屋・竈(かま)神社・カフェチルコロ~

今回は玉之浦町の中でも荒川地区に焦点を絞り、歴史的・文化的・地質的な観点からその魅力を紹介します。
※写真は竈神社からの荒川漁港方面の街並みを臨む。

福江から馬責馬場の交差点を左折して福江荒川線に入り、岐宿町二本楠の交差点を直進して車を走らせると、約30分で荒川の市街地へたどりつきます。荒川といえば何と言っても温泉です。荒川漁港の手前のバス停には無料で足湯が楽しめる施設があるのですが、説明板によると温泉の熱源は火山による熱ではなく地球そのものの熱(地熱)だそうです。つまり五島で唯一、地球からの恵みを荒川は受けているのです。ジオパークに認定されている五島を体感できる場所としての荒川を意識することができました!

この日はあいにくの雨。荒川漁港に駐車して周囲を歩くと、公衆浴場(地域福祉センター荒川温泉)の隣に、ひときわ目立つオブジェを発見。「五島沖鯨の骨のアーチ」と命名されたこのオブジェは、ナガスクジラの下顎の骨2本が使用されています。ごつごつとしてはいましたが、自然物である(人工物ではない)温かみを感じることができました。
脇にある説明板によると、五島沖における捕鯨の歴史は1955(昭和30)年から始まったものの、複数の捕鯨会社による操業激化や捕獲頭数の制限などにより1960(昭和35)年を以って終了したようです。荒川は元々、イワシやアジ、サバなどが獲れる好漁場でしたが、戦後の捕鯨が加わることで経済振興が進み、活気にあふれていたようです。
ちなみにオブジェの前には菜の花(春の花)が咲いていましたが、隣が「温泉」施設であることを踏まえると、「スプリング」はもうすぐそこです(笑)

荒川の裏路地には、古い建物が密集しているところがあります。この写真は山口酒屋です。外観をみると、タバコ販売の窓口と自販機が並び立って設置されていました。またウィスキーの瓶をかたどった看板はいい具合に色褪せており、周囲の景観に調和していました。中に入るとお酒だけでなく食糧品なども販売されており、購入したお酒を楽しめるスペース(角打ち)もありました。昭和時代にタイムスリップするとこんな感じなのでしょうか。外観の撮影許可をいただいた際、お店の方は「古いだけですよ」とおっしゃっていましたが、この外観には「深み」という味わいも残っているので、いい撮影ができました。ありがとうございました!

山口商店を出て、荒川郵便局の方へ歩いていると、上の方からにぎやかな声が聞こえてきました。目を向けると、竈(かま)神社に向かう階段になっており、神社から氏子の方々が階段を降りながら幟旗を立てたり紙垂(しで)を付けた縄を張っていらっしゃいました。話をうかがうと、本日12:00から開催予定の例祭の準備をされていることと、神楽が演じられることが分かりました。何という偶然でしょうか。荒川の歴史に触れる絶好の機会を逃す訳にはいきません。

階段を上って12:00前に竈神社に到着。宮司の方々も氏子の方々も既に拝殿に入っておられました。氏子のみなさんの邪魔にならないよう拝殿の入口付近にいましたが、氏子の方から拝殿に入るようお声をかけてくださいました!ありがとうございます!

例祭は、神主から氏子へお神酒がふるまわれ、お祓いを施されるところから始まります。それから面を付けていない神主が扇や鈴、御幣を持って舞ったり(採物舞)、鬼や獅子舞が登場して舞います。最初は黙って座りながら眺めていた氏子の方々も、時間がたつにつれてお酒を飲みながら楽しく眺めていらっしゃいました。

月川宮司様のお話によると、荒川地区にある七嶽神社と竈神社は玉之浦町に属していますが、「玉之浦神楽」ではなく、系統を引き継ぐ「富江神楽」が奉納されています。
 なお五島市の4つの神楽(福江神楽、岐宿神楽、玉之浦神楽、富江神楽)と、新上五島町の2つの神楽(有川神楽、上五島神楽)と、佐世保市(宇久神楽)の合計7つの神楽が、「五島神楽」として重要無形民俗文化財に指定されています。竈神社では約1時間半もの間、神楽を楽しむことができました。

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例祭が終わったのが13:30。遅いランチを荒川漁港の向かいにあるカフェチルコロで済ませました。店の入口は船のデッキみたいに板張りになっており、海に臨んでいる店としての雰囲気は申し分ありません。

中に入るとキッチン前と窓際にカウンター席が、中央部にテーブル席が設けられていました。オープンキッチンが広さを感じさせてくれました。

店内の中心部には靴を脱いであがることができる部屋があり、奥には来店したお客様(お母さん)がくつろげるよう、子どもたちが遊べるスペースがありました!おしゃれな雰囲気の中にも快適にくつろぐことができる空間は、こちらのカフェのこだわりであり、一番の特徴であるように感じました。

写真は、私が注文したサンドイッチ(ハムチーズ卵:500円)とコーヒー(450円)です。サンドイッチ用の薄めのパンに、ハム、チーズ、レタス、スクランブルエッグになった卵が挟んでありました。卵にはケチャップ入りと無しのいずれを選ぶことができます。わたしはケチャップ入りを注文しましたが、ケチャップの酸味がほどよく味を引き締めてくれましたので、自分好みの味を楽しむことができました。マイルドな味が好きな人はケチャップ無しをお薦めします!他にも紅茶やジュース、ソフトクリームなどがありますが、ディナーは、イタリアンのコース(要予約)を楽しめるようです。今度はぜひ夜のメニューを楽しみにしたいと思います。オーナーの藤井様、快く取材に応じてくださり本当にありがとうございました!

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