五島の教会・絶景・カフェをゆったり巡る旅|奥浦・半泊エリア
長崎県五島市の北東部に位置する奥浦・半泊(はんとまり)エリア。ここは、美しい自然に癒やされるとともに、潜伏キリシタンの歴史を今に伝える教会が点在する、奥深い歴史が息づく地域でもあります。
映画の舞台となった真っ赤な大橋や、波の音が心地よく響く玉砂利のビーチ、そして大海原を一望する展望所など、五島ならではの絶景に出会えます。さらに、ゆっくりとくつろげるオーガニックカフェや手作り塩の直売所といった立ち寄りスポットも充実。歴史に思いを馳せながら、奥浦・半泊エリアをゆったりと巡ってみませんか。
特集INDEX
ノアの箱舟をイメージして造られた、モダンな白亜の教会
福江港から県道162号線を車で約10分、平蔵地区に入ると高台に見えてくるのが浦頭(うらがしら)教会です。真っ白でモダンなコンクリート造りに、茶色い十字架と花をかたどったステンドグラスが特徴的なこの教会は、旧約聖書のノアの箱舟をイメージして建てられました。初代の教会は別の場所にありましたが、1968年に集落の高台である現在地に移転新築され、2019年には50周年を迎えました。
敷地内に入ると、最初に出迎えてくれるのは優しい顔のマリア像。「いらっしゃい」と歓迎されているような気分になります。正面に回ると、玄関の両脇には守護聖人の聖ペトロと聖パウロの像が、眼下に広がる平蔵地区を見守るように立っています。堂内も白を基調としたモダンな造りで、天井が高く開放感があります。
正面の門からは車での乗り入れも可能ですが、駐車場が狭いため、県道沿いの広場に車を停めて細い上り坂を歩いて向かうのがおすすめ。春は桜が舞い散り、クリスマスの時期はイルミネーションのアーチがとても綺麗ですよ。
ミサ:月曜・水~金曜/6:00、火曜/17:00、日曜/5:30(第1日曜を除く)・8:00
長崎県が誇る天然記念物。五島の風土が育てた迫力満点の巨木
浦頭教会の正面入口の門を出たら右折し、山あいの道を5分ほど進むと、樫ノ浦(かしのうら)漁港に到着します。静かな港のさらに奥まで進むと「あこう木前」というバス停があります。そのすぐ先を民家側に入ると、目の前に圧倒的な存在感で現れるのが、1952年(昭和27年)に県の天然記念物に指定された、五島を代表する巨木「樫ノ浦アコウ」です。
アコウはクワ科の半常緑高木で、垂れ下がる気根が特徴。この木の樹齢は不明だそうですが、黒潮の流れに乗って種子が運ばれこの地に根付いたと言われています。
根周りは15mを超え,高さは10m以上。特別に太い幹があるわけではないですが、細い幹や枝、気根が四方八方に十数メートルも伸びており、そのボリュームと野性味が迫力満点です。この樫ノ浦地区の守り神なのか、根元の石垣には祠があり、お供え物もしてあります。神秘的な雰囲気と、生命力あふれる姿が印象的なアコウの木、ぜひ見に行ってみてください。
【樫ノ浦アコウ】
住所:長崎県五島市平蔵町1568-2
アクセス:福江港から車、バスで20分
お地蔵様の癒やしと、奥深い五島の歴史に出会うお寺
浦頭教会を後にし、県道162号線を少し行くと右手に奥浦湾が見えてきます。その少し手前の十字路を左折し、奥浦小学校や奥浦中学校を眺めながら道なりに進むと、右手に白塗りの外壁に立派な瓦をのせたお寺「栄林寺」があります。
まず目を引くのは、敷地内にずらりと並ぶ真っ赤なニット帽を被った小さなお地蔵様たち。思わず頭を撫でてしまいたくなるような愛らしさで、いつまでも眺めていたくなります。お寺の裏手の階段を下ると広い庭が続き、その一角は地域の方のゲートボール場としても親しまれているようです。
入口付近の案内板によると、現在お寺となっているこの場所は、かつて五島にキリスト教を広めたイエズス会の宣教師アルメイダが滞在し、布教に努めた地であったというから驚きです!激しい弾圧期が長かったため詳細は不明で、当時の痕跡は残されていないそうですが、巡察使たちが残した「日本西教史」からその事実が読み解けるといいます。また、ここは五島八十八カ所の第49番札所でもあるため、島外からも多くの参拝者が訪れています。
【栄林寺】
住所:長崎県五島市奥浦町1516
電話:0959-73-0613
心も体も喜ぶ癒やしのオーガニックショップ&カフェ
栄林寺を出て、民家の並ぶ道を戸岐方向へ少し進むと、突如として可愛らしいカフェが現れます。群馬県からIターンされたご夫婦が営む「Organic Natural Spaceねこたま」は、島では数少ない、オーガニック商品を取り扱うお店です。
ジャズの流れる店内では、店主の泰子さんが作る体に優しい材料を使ったお菓子やドリンク、天然酵母のパンや野菜たっぷりの軽食が頂けます。晴れた日には外のデッキで、きらめく水面を眺めながらゆっくりくつろぐことも。また、店内には島の農家さんから仕入れた無農薬野菜や、島では手に入りにくいオーガニック食品、環境に優しい生活用品なども並び、それを目当てに来店する常連さんも多いそうです。ご夫婦自らも無農薬野菜を栽培し、島外へ野菜ボックスの発送も行っています。さらにピアノの先生という別の顔を持つ泰子さんのもとには、年代を問わず島の音楽好きが集い、時には即興で楽器演奏が始まることもあるそう。音楽とオーガニックが溶け込む、地域に愛される憩いのスポットへ、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
映画の舞台にもなった真っ赤な大橋
「Organic Natural Spaceねこたま」から県道162号線に出て戸岐方面へ。しばらく車を走らせると、目の前に真っ赤なアーチ型の戸岐大橋が見えてきます。奥浦と戸岐・宮原地区を結ぶこの橋は1979年(昭和54年)に架けられました。それまで、渡海船で戸岐湾を渡るか、陸路の場合は岐宿地区を経由しなければなりませんでしたが、この橋が架かり、島内の交通の便は格段に向上。住民の暮らしを大きく豊かにしました。
晴れた日は、吸い込まれそうな空の青さと赤い橋のコントラストがとっても綺麗!眼下に広がる戸岐湾の絶景には、思わず息を飲みます。また、橋の右側正面に見える久賀島(ひさかじま)には、洋館のような浜脇教会がこちらを向いて建っていて、その美しさにそっと手を合わせたくなります。
映画「くちびるに歌を」のロケ地としても登場し、五島を代表する観光スポットの一つにもなっているこの橋。時間に余裕があれば、戸岐集落まで足を伸ばし、真っ赤な橋を真下から見上げてみるのもおすすめです。
久賀島や糸串鼻を望める展望所
戸岐大橋を渡った後、三叉路を右に進むと宮原地区に入ります。黄色い看板を目印に右折し、坂道を上っていくと左手には山の緑、右手には大海原が見えてきます。途中で車を停めて海を覗き込めば、打ち寄せる荒波に侵食されたゴツゴツした岩の層がクッキリと見え、そのダイナミックな造形に自然の偉大さを感じずにはいられません。
頂上に着くと、目の前に広がる群青色の大海原。思わず深呼吸したくなるほどの圧倒的な開放感です。東屋はなく、木製のベンチがポツンと置いてあるだけですが、だからこそ視界を遮るものが何もなく、広い海と島々を一望することができます。ベンチに座り、波の音や鳥のさえずりに耳を澄ませていると、心地良い海風がふんわりと肌を包み、まるで時の流れが止まったかのような感覚に。ここからも、向かいの久賀島の小さな浜脇教会が見えますよ。
さらに道の行き止まりまで進むと、隠れ家のような半泊集落の小さな港とコバルトブルーの海が広がっています。宮原の頂上を訪れた際は、ぜひあわせて足を伸ばしてほしいイチ押しの絶景スポットです。
五島の豊かな自然の中に佇む、小さな聖堂
宮原展望所から来た道を下り、右に入るとすぐに宮原公民館前と書かれたバス停が見えてきます。右手にある「宮原公民館」と大きな文字で書かれた建物の左奥に、ひっそりと佇んでいるのが宮原教会です。
外観は一見すると民家風ですが、屋根には立派な十字架が掲げられています。ここ宮原は、かつて大村藩から移住したキリシタンが潜伏した集落の一つ。キリスト教の復活後は、1885年にペルー神父がこの地を巡回してミサを捧げ、当時の総代など十数人が洗礼を受けたと伝えられています。現在の教会は1971年(昭和46年)に信徒たちが資金を出しあって改築され、今も大切に守られています。
周辺は掃除が行き届いており、入口付近を流れる小川には小さな川魚がたくさん泳いでいて、豊かな自然を感じることができます。聖堂の中に入ると清潔感のある空間に生花が飾られ、優しい笑みを浮かべたマリア像が温かく歓迎してくれているよう。小規模ながらも、どこか温もりに満ちた素敵な教会です。
透き通った海と丸く磨かれた玉砂利の海岸
宮原教会を後にし、まっすぐ進むと半泊へと続く山道の手前に小さな誘導看板があります。細い山道を10分程進むと眼下に海が見え始め、あとは道なりに下って行くと半泊集落に到着。
目の前にあるこんもりとした小さな島がトレードマークの半泊ビーチは、砂浜ではなく玉砂利の小さな海岸。波に洗われたつるんとした丸い石が特徴です。耳を澄ますと波の満ち引きに合わせ石が擦れ合い、まるで歌っているかのよう。手前から眺める海の色のグラデーションの美しさにも、思わず息を飲みます。海と山と空に囲まれた、生活音のない空間に身を置くと、心まで洗われていくよう。
ここでは波打ち際で遊べるだけでなく、山裾の岩場で磯遊びをしたり、防波堤で魚釣りをしたりと、一日中いても飽きることがありません。コンパクトなビーチなので、小さなお子様連れでも安心して楽しい海遊びができますよ。
【半泊ビーチ】
住所:長崎県五島市戸岐町半泊1223
アクセス:福江港から車で約30分
鉄川与助が手がけた、海辺の教会
ビーチから後ろに目を向けると、赤茶色の木造の壁に瓦葺の屋根という民家風の半泊教会があります。屋根に乗った白い十字架がなければ、教会とは気付かないような外観ですが、一歩中に入ると、堂内は明るい白と水色の配色でホッとする可愛らしさ。内部は三廊式になっており、しっかりとした教会の様式を備えています。
ここ半泊集落には江戸末期、大村藩から数家族の潜伏キリシタンが移り住んできました。しかし、全員が住み着くには土地が狭すぎたため、半数だけがここにとどまったことから「半泊」と呼ばれるようになったといわれています。
教会は、アイルランドからの寄付と信徒の労働奉仕により、鉄川与助の施工で3年の歳月をかけ、1922年(大正11年)に完成しました。正面には教会を台風の被害から守るため、信徒たちが半泊海岸の石を集めて築いたという立派な石垣が残っています。
半泊湾の海水を使った手作り塩の直売所
半泊教会のすぐ先に手作りの可愛い看板があり、細い坂道を少し上がると、佐藤さんご夫婦が営む「cottage.smoky 」「さとうのしお窯」、そして「直売所 salty sugar」があります。ここからは半泊教会堂と、半泊ビーチを見下ろすことができ、その美しい景色にしばし見とれてしまうほどです。
一日一組限定のコテージにはキッチン設備が整っていて島の食材を自由に調理して楽しめます。今では珍しい薪で沸かす五右衛門風呂もあるので、リアルな田舎暮らしを体験できるのが魅力です。
ご主人が作るこだわりの塩は、半泊湾の満潮時の海水を使用。天日干しで仕上げたミネラル豊富なシンプルな塩と、旨味のあるイカ墨入りの黒塩の2種類があります。手軽な50g入りのパックは、お土産に最適。事前に予約をすれば塩作り体験も楽しめます。
直売所では、塩のほかに、地域で採れた農・海産物も販売。ドリンクや軽いスナック等も用意されているので、天気のいい日は外のウッドデッキで、半泊の心地よい風を感じながらゆっくり寛ぐのもおすすめです。
MAP
Google Mapの読み込みが1日の上限を超えた場合、正しく表示されない場合がございますので、ご了承ください