五島列島福江島 三井楽半島を旅する ~"さつまいも"と"焼酎"と"潜伏キリシタン"編~-1

五島列島福江島 三井楽半島を旅する ~"さつまいも"と"焼酎"と"潜伏キリシタン"編~

2023.02.21

五島の恵みで造られる「芋焼酎」


五島の名物「かんころ餅」の原料である「さつまいも」。
さつまいもを使って造られるお酒「芋焼酎」を作っている「五島列島酒造」さんを取材しました!
そして、五島でなぜ「さつまいも」が育てられるようになったか、その秘密を紹介したいと思います。

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五島産原料100%"小麦"と"さつまいも"を使った極上の"焼酎"

 
今回は、三井楽(みいらく)半島の玄関口にある「五島列島酒造」について紹介します。

私たち写真班のメンバーは、五島列島酒造での取材、酒蔵の作業体験に行きました。五島列島酒造は、五島列島福江島の北西部、三井楽半島の東海岸白良ヶ浜沿いにある2009年(平成21年)創業の酒蔵です。
2012年には代表焼酎「五島麦」が福岡国税局管内酒類鑑評会で大賞(1位)を獲得しています。 原料は麹麦も掛け麦も五島産です。単式蒸留により繊細すぎない風味豊かな味わいだそうです。
蔵での貯蔵に近い濃厚な味わいのさつまいも蒸留酒「五島芋」も、2016年にモンドセレクション金賞受賞、LosAngels International Spirits Competition 2018でGold Medalを受賞しています。

まずは、焼酎の出荷準備のお手伝い

私たちはいろいろな酒蔵体験をさせてもらいました。

まずは、焼酎の出荷準備のお手伝いとして、焼酎の瓶へのラベル貼り。
機械を使って、ラベルを貼るのですが、ラベルがずれてしまうこともあります。その際は、手作業で、ラベルを貼り付けます。杜氏の方が、丹精込めて醸造された焼酎の最後の仕上げである出荷作業。ラベルの位置がずれないように集中して作業に取り組みました。
ラベルを貼り終わったら箱詰めです。瓶を割らないように、傷をつけないように気を付けて、箱詰めしました。

特別にさつまいもを試食させてもらいました!

焼酎の原料となる芋は、原料処理として、水で洗い、水に浸し、水切りした後に蒸します。その蒸したあとの芋を、特別に試食させてもらいました。蒸したてのさつまいもは、とっても甘く濃厚で、本当においしかったです。
この甘さ(糖)を用いてアルコール発酵し、焼酎が作られるのだと、実感しました。

フルーティーで、芳醇な香り漂う酒蔵へ

いよいよ、酒蔵の中に入らせてもらいました。
高校生なので、お酒を飲んだことはありませんが、酒蔵に入った途端、甘酸っぱくて、濃厚な香りがして、その匂いだけで酔ってしまいそうになるくらいでした。

酒蔵内は、清潔で、道具類もきれいに整理されていて、職人・杜氏の方々の仕事に対する心構えを感じました。

仕込み作業を見学

蒸した原料(芋)に麹菌の胞子を散布して、麹菌の増殖が行われます。34~38度の温度で約40時間かけて麹が造られます。麹に水と焼酎酵母を加え混ぜ合わせ、約7日間かけて発酵に必要な酵母を増殖させるそうです(一次もろみ)。
その一次もろみに主原料となる芋を加え混ぜ合わせます。
その混ぜ合わせる作業を見学させてもらいました。詳しい焼酎の製造方法は、ぜひ、五島列島酒造公式サイト「会社概要」の「焼酎ができるまで」をご覧ください。

真冬の取材でしたが、熱気あふれる仕事に、焼酎造りに対する杜氏の情熱を感じました。

五島でさつまいもが育てられるようになったわけ

さつまいもの皮むき作業の体験もさせてもらいました。量がとても多くて、とても大変な作業でした。
さて、NHKの連続テレビ小説「舞いあがれ!」でも登場した"かんころ餅"。かんころ餅の原料であるさつまいも、芋焼酎の原料であるさつまいもが、福江島三井楽で盛んに生産されている理由を知っていますか?

さつまいもは、江戸時代初期に長崎県沿岸に持ち込まれ、特に大村藩で栽培が盛んでした。五島列島には、大村藩からの移民によって、さつまいもが持ち込まれ、栽培されるようになりました。その移民には潜伏キリシタンが多く、彼らは五島列島の中でも人が住んでいない狭い入り江や内陸部に住むようになりました。火山の大地である三井楽は、水はけがよく葉物の野菜を栽培するのには適していない土地でした。さつまいもはむしろこのような土地で、育てやすかったのです。
潜伏キリシタンの悲しくも奇跡のような歴史によって、五島にさつまいもが持ち込まれ、そして今に伝わる食文化に繋がっています。

高校生なので、お酒は飲めませんが、さつまいもを食べるとき、かんころ餅を食べるとき、潜伏キリシタンの方々に思いをはせながら、味わいたいと思いました。

長崎・五島を心から味わう

最後に、酒蔵に併設されている直売所を訪ねてみました。
芋焼酎、麦焼酎の他にも、全国で唯一「現川焼(うつつがわやき)」の伝統を守っている長崎県佐世保市の窯元「臥牛窯」の器も販売されていました。つややかでとても美しい器でした。

三井楽に立ち寄られた際は、「五島列島酒造」さんに、ぜひ足を運んでみてください。
※お酒は二十歳になってから!

三井楽紹介動画~五島列島ジオチャンネル~

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