「下崎山のヘトマト行事(重要無形民俗文化財)」を観に行きました! ~下崎山地区を訪ねて~-1

「下崎山のヘトマト行事(重要無形民俗文化財)」を観に行きました! ~下崎山地区を訪ねて~

今回は、2024年(令和6年)1月21日に下崎山地区で行われた「下崎山のヘトマト行事」を紹介します。

毎年1月の第3日曜日に開催される行事で、羽根つきや綱引きなどで豊凶を占い、徐災招福を祈願します。
開催場所は、白濱神社をスタートし、馬場道沿いの三叉路へ移動、三叉路から山城神社までの道中です。
初めての訪問でしたが、白濱神社付近には案内板がいくつか設置されていて、分かりやすかったです。

白濱神社の鳥居を通り過ぎると、社殿前に土俵があり、そこで行われる奉納相撲からヘトマト行事がはじまります。奉納相撲は予定通り13:30から始まりましたが、12:00過ぎには観覧者の方々が白濱神社に集まりはじめました。当日は絶好の観覧日和でしたが、風も強く、まわしをつけた力士たちは寒そうにしていました。

土俵付近に設置されたテントでは、温かいぜんざいが観覧者にふるまわれていました。

奉納相撲は、小学生、中学生、成人の3部構成で行われます。
どの取り組みも周囲の声援を一身に背負いながら、力士たちは勝利を目指します。時には行事役の方も力士に交じって取り組みに参戦するなど、土俵は大きな笑いに包まれます。
取り組みに勝利した小中学生が、はにかみながらもにこやかな表情で景品を受け取る姿と、それを温かいまなざしで周囲が見守っている姿がとても印象的でした。

奉納相撲が終わり、白濱神社から馬場道沿いの三叉路に移動しました。
まもなく御幣持ちを先頭に、羽子板を持った方々の巡行がはじまり、子孫繁栄を祈願して新婚女性による羽根つきがはじまります。
酒樽の上に乗って羽根つきが行われるため、足元が安定しない状況で一生懸命に頑張っている様子でした。

羽根つきの後は、同じ三叉路で「玉せせり」と呼ばれるわらで作られた玉の投げ合いが行われます。
紅白の鉢巻をした大人が二手に分かれ、ふんどし姿の男性たちが玉を相手側に投げる様はとても勇ましく、観覧者の声援もヒートアップしはじめました。

その後は同じ場所で綱引きが行われます。
陣地を替えながらの三回勝負。ふんどしを締めた男性たちは、あらかじめ自分の身体に「ヘグラ」と呼ばれる煤(すす)を塗って挑んでいるのですが、綱引き前後から観覧者の顔にも煤が塗られはじめました。
喜んで塗られる人もいれば、塗られるのを嫌がって逃げ回る子どもたちを、にこやかな表情でふんどし姿の男性たちが追いかける様子は、この行事の一体感をあらわしています。

綱引きの後、三叉路から大きなわら草鞋を担いだ男性たちが山城神社を目指して移動します。
その際、女性がわら草履の上に担ぎあげられ、ワッショイワッショイと胴上げされる様子がこの行事の一番の見どころになります。

移動するわら草履についていく観覧者は煤を塗られつづけ、担ぎあげられる女性は嬉しそうな表情やはにかむ様子を見せながら、半強制的に担がれていました。
このような様子が見ることができる行事は、他にあるのでしょうか。

私も顧問の先生も初めての体験でしたが、とても楽しく観覧できました。
他の観覧者の方と同じように煤を塗られてしまいましたが、「縁起ものだから!」と声をかけられ優しく塗ってくれたので、とても温かい気持ちになりました。
自分たちが住んでいる福江島にこのような珍しい行事があることを知りませんでしたが、いい経験になりました。

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