地方移住成功のカギ!補助金制度のある自治体と失敗しないポイントとは?

ここ数年で注目度が増してきた地方移住。国を挙げて地方移住を推進し、各自治体も移住者の誘致に力を入れています。


現在は都会で働かれている方も、定年退職後や早期リタイア後、子どもが生まれる頃に、などさまざまなタイミングで地方へ移住したいと考えている方も一定数いることでしょう。

しかし住む場所や仕事など、今ある環境をガラリと変える事は、普通の人にとっては高いハードルです。

できることなら失敗しないコツを知りたいし、政府や自治体の支援についても事前に確認しておきたいですよね。


この記事では地方移住の魅力と、政府や各都道府県の支援制度や補助金、そして移住に失敗しない為に確認しておきたいポイントについて解説していきます。

地方移住成功のカギ!補助金制度のある自治体と失敗しないポイントとは?

地方移住の魅力とは

新型コロナウイルスの流行を機に加速したと言われる地方移住ですが、その魅力とはいったい何なのでしょうか。

実際に移住した人々からの声では以下のような声が多く聞こえました。

自然に囲まれてのんびり生活できる


地方での生活で最も魅力と言われるのは大自然に囲まれたのんびりした暮らしです。

虫や爬虫類に遭遇する確率も上がってしまうのですが、それだけ豊かな自然に囲まれている証拠。

通勤ラッシュも無ければ、夜間の騒音問題等も無く、夜は早い時間に暗くなって、満点の星空も見る事ができます。

日頃の小さなストレスから解放され、生活だけでなく心にも余裕を持った暮らしが実現できるでしょう。


ご近所付き合いが盛んなので、生活や子育てで孤立しない


地方は古き良き日本のようなご近所付き合いが今でも残っています。

地域全体が家族や親せきのような親密な関係で繋がっているので、困った時の助け合いも当たり前です。

お互いのお家でできた農作物をお裾分けし合ったり、子育てを手伝ってもらったりなど、生活面で支え合いながら生きていけるのが魅力と言えるでしょう。

物価が安く、生活コストが抑えられる


地方は住居や地元で作られた食材などの価格が安く、日々の生活コストが抑えられます。

最もその差が顕著なのは家賃や土地代など、住まいにまつわるお金です。同じサイズの物件で比較した場合、都市部と比べて3分の1程度の費用感になる場合もあります。

最低賃金も都市部と比較すると安くなってしまうので、贅沢な暮らしはできないかもしれませんが、毎月の固定費が下がる事は大きな魅力と言えるでしょう。

地元の新鮮な食材が豊富


自然に囲まれた地方は地元で採れる新鮮な野菜や海産物の宝庫です。

首都圏ではお目にかかれない希少なものや、高値で売られているものも、地方なら比較的安価に手に入ったり、とれたての新鮮な状態で食べたりできます。

地方ならではの伝統的な味付けや料理もあり、最初のうちは料理や食材ひとつ取っても刺激的な毎日となるでしょう。

移住の際に利用したい移住支援制度

魅力あふれる地方移住ですが、実際に住むとなる引越しや転職、役所への届け出など、移住先で生活する為の環境を整える必要があり、多大な労力と出費が思った以上にあります。

そんな時に活用したいのが移住支援制度です。

条件が合えば移住後にまとまった補助券が貰えたり、税制優遇を受けられたりする可能性があります。

以下で国が制定する移住支援制度について解説していきましょう。


移住支援制度とは

移住支援制度とは、国や自治体が設けている移住者を支援する為の補助金制度です。

国が設けている制度は地方での起業や東京圏からUIJターンをする方を対象としていて、2019年から6年間を目途に実施されています。

これからご説明する3つの条件全てに当てはまっていれば、移住支援金を受け取ることができます。

家族で移住する場合は1世帯の上限が100万円、単身の場合は最大60万円を給付。

18歳未満の子どもがいる世帯の場合は子ども1人につき最大100万円が加算されます。

金額は自治体により異なり、実施している自治体は内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」に記載されているので、確認してみてください。


それでは給付の条件を細かく見ていきましょう。

移住元の条件

まず、国の支援を受けられる人の条件として、東京圏に住んでいて、東京23区へ通勤している方であることが前提です。

東京圏というのは東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の1都3県を指します。

もう少し細かく説明すると、移住直前の10年間で通算5年以上、該当エリアに在住し、東京23区へ通勤していた方で、直近1年以上は東京23区に在住または通勤していることが条件になります。

上記エリアに在住し、東京23区内の大学等へ通学した後に、東京23区内で就職した方は通学期間も対象ですので、新卒2年目以降の若い世代も支援を受けられる可能性があります。


移住先の条件

次に移住先の条件ですが、上記エリア以外の都道府県で、尚且つ移住支援事業を実施している都道府県・市町村に限られます。

東京圏の条件不利地域というのは、東京圏内で過疎が進んでいる自治体が対象になりますので、該当する地域は内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」をご確認ください。

移住先については、場所以外にも下記2点の条件があります。

・移住後3ヶ月以上1年以内に支援金の申請をおこなうこと

・申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること

移住してすぐには申請ができないという点と、居住期間が5年未満の場合は一部返金しなければならないという点は念頭に置いておきましょう。


仕事の条件

更に仕事に関する条件も下記のように取り決められていて、下記いずれかひとつに当てはまる必要があります。

1. 地域で中小企業等へ就業

  都道府県のマッチングサイトに掲載されている求人か、人材マッチング事業を利用して就業することが前提です。

2. テレワークによる業務継続

  自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと。

  「自己の意思」とあるので、会社命令での地方出向は当てはまりません。

3. 市町村ごとの独自要件

  各自治体が地域の人々と関わりがある者として認める要件を満たしていれば、上記1、2に当てはまっていなくても支援金を受け取る権利があります。

  要件については自治体ごとに違うので、移住を検討している自治体に事前に確認する必要があります。

4. 地方創生起業支援事業を活用

  移住先で起業や開業を検討されている場合は、1年以内に起業支援金の交付決定を受けていることが条件になります。

  起業支援金制度については、その他にもさまざまな要件がありますので、詳しくは内閣官房・内閣府総合サイト「地方創生」をご確認ください。

補助金制度のある都道府県

国が制定している移住支援制度はあくまで東京圏に住む方が対象になっているので、その他の都市に住んでいる方は活用できないのが残念なポイントです。

しかし、国の移住支援制度以外に、各都道府県や自治体でも移住者を受け入れる為の補助金制度を設けている場合があります。

移住者向けの補助金制度がある自治体を都道府県別にまとめました。

尚、同じ都道府県内でも自治体により条件や給付額等が異なる場合があります。


※詳しくは、各県の詳細リンクをご参照ください。

地方移住に失敗しないためにおさえておきたい5つのポイント

各都道府県や国で制定する補助金や支援制度。

調べれば調べるほど魅力的で、少しでもたくさんもらえてお得に地方移住を実現させたい!と考える方も少なくないでしょう。

しかし、魅力あふれる地方移住には落とし穴もつきもので、実際に移住後早々に元居た土地に戻ってしまう方もいる程です。

ここまででお話しした内容も踏まえながら、最後に地方移住に失敗しない為に押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。

補助金の有無で移住先を決めない

これまで補助金についての詳細をお話ししましたが、補助金の有無や金額だけを見て移住先を決めてしまうのは避けるべきです。

お金を貰えるのは一瞬の事で、その後も移住先での生活は続きます。

国が定める制度でも、一定期間その土地で生活しなければ補助金は返還しなければなりません。

まずは自分が住みたいと思える候補地を選んだ後に、補助金の有無を確認し、当てはまればラッキー!くらいの感じで思っておくくらいがちょうど良いでしょう。


支援制度のルールは移住前に確認する

支援制度を活用するにはさまざまなルールや条件があり、この確認は必須です。

例えば国からの補助金に関して言うと、申請できる時期が定められていますし、自治体によっては年度の予算を超えた場合は早々に申請を締め切ってしまうケースもあります。


短期滞在でお試し移住をしてみる

旅行で行ってみて楽しかったから、ご飯がおいしかったからなど、安易な理由で移住を決めてしまうのはNGです。

旅行して、移住したいほど気に入る土地を見つけたのなら、実際にお試し移住をしてみる事をおすすめします。

期間は1週間程度の短期でも構いませんが、住むように滞在してみて、その土地の風土や気質に触れてみる事、生活する目線で見た時に何を感じるかを確認する事はとても大切。

お試し移住をする事で今の自分に足りないものも見えてくるでしょう。


仕事や住む場所は事前に調査する

地方移住では「田舎は人手不足が深刻なので、仕事はいくらでもある」、「家賃が安いから生活コストも下げられる」などの文言もよく目にするので、取り敢えず勢いで移住して見ればどうにかなりそうな気がしなくもないですよね。

しかし、仕事に関して言えば、その土地にある求人が自分のしたい仕事やこれまでのキャリアを活かせる仕事である可能性は低いかもしれません。

また、住居もお手頃な家賃で広めの部屋を借りたり購入したりできますが、築年数が経過していてリフォームが必要な可能性や、自身の気に入る間取りの部屋が見つからない可能性もあります。

移住で失敗したと感じない為には、必ず移住前に就職活動や住居探しを行う為の事前調査は必須です。

「その土地が好きか」が一番大切

色々な事をお話ししましたが、一番大切なことは「その土地が好きか」に尽きます。

気候や風土、文化や食べ物はもちろんですが、移住先の人々の雰囲気や地域のコミュニティなど、生活する上で切っても切り離せない部分を自身が好きになれそうかどうかは考えるべきだと思います。

もちろん住んでみないと見えてこない部分もあるので、移住前に全てを好きになる事はできないでしょうし、移住後に想像と違ったなと思うこともあるでしょう。

そのようなギャップを少しでも埋めるために、移住相談会に参加したり、先輩移住者へ直接相談してみたりすることも大切です。

移住成功のカギは補助金よりも大切なモノ・コトを見出すこと~長崎県五島市の例~

移住を成功させる為には、補助金や支援制度よりも大切なモノやコトを見つけると良いでしょう。

移住者を受け入れる自治体の住民たちもお金が理由で移住してきた人ではなく、自分たちの住む土地に魅力を感じて移住してきた人の方が受け入れやすいに決まっていますよね。

そんな想いが強い長崎県の五島市を例に挙げて、最後にご紹介します。

日本有数の美しい海に囲まれた長崎県五島市は五島列島の中で最も大きな3つの島で構成された離島です。

五島市の主な支援制度は下記の通り。(諸条件あり)


・東京圏からの移住者に最大100万円+18歳未満の子ども1人につき30万円加算

・子育て世帯引越し補助:最大15万円

・面接時の旅費等補助:最大6万円

・奨学金返済助成

・結婚新生活支援金(引越し・家賃補助等):最大30万円

・リフォーム助成金:最大100万円


これまでご紹介した支援金や制度と比較すると、決して手厚いものではなく、補助金を重要視している方にはあまり魅力が感じられないかもしれません。

しかし、実は5年連続で年間の移住者数が200人を超えるほど人気の移住先なのです。

この理由は、五島の環境に魅力を感じた人がそれだけ多いという事はもちろんなのですが、「五島市を好きになってもらいたい」という移住支援員や住民たちの暖かい想いもあるのでしょう。

五島市のスタンスとしては、支援制度ありきで移住を決める方ではなく、五島市を好きになった人に移住してもらいたいと考えています。

そのため、金額面での補助は普通ですが移住前後のサポート体制は万全です。

中でも移住支援員の相談対応が親切で細やかな点には定評があります。

現在五島市の移住支援員を務める方は、全て移住組。Uターンや少しだけ五島を離れていただけの方のみではなく、Iターンでの移住者も支援員の中にいます。

この様な人員構成で対応してくれるので、移住前の方の気持ちを汲み取るのが上手く、説明も的確でわかりやすいです。

五島市は、東京や大阪、福岡などで対面の移住相談会や移住セミナーを開催しています。


生活環境やコスト面など詳しく知りたい方は、参加を検討してはいかがでしょうか。

相談員が丁寧に五島の魅力を教えてくれたり、心配事を解消してくれたりして、きっと参考になるはずです。

まとめ

この記事では、地方移住の際に活用できる移住支援制度や各都道府県の補助金についてご紹介しました。

支援について調べていると、ついつい支援金や補助金がたくさんもらえる場所へ移住したくなってしまいますが、やはり一番大切なのは「その土地に長く住めるかどうか」です。

支援金や気軽さなど、目先の条件で選んでしまうと、結果的に長く住む事ができなかったり、地域の人々と馴染めなくて住みづらくなってしまったりする可能性もあります。

国や各自治体が制定している支援制度や補助金は、「住みたい街が見つかってからしっかり調べ、当てはまるものがあったら手続きをする。」くらいのスタンスで考えている方が、後の失敗に繋がりにくいと言えるでしょう。

備考

更新日:2023年11月16日


【監修】

五島市UIターン相談窓口スタッフ(長崎県五島市地域振興部地域協働課移住定住促進班スタッフ)

移住者も地元出身者もいる「五島市UIターン相談窓口」スタッフは、以下の4人。

*移住支援員…2018年に東京都からIターン

*移住支援員…2006年に結婚を機に、長崎県長崎市からIターン

*移住支援員…約17年間島を離れ2004年にUターン。福岡、広島在住経験あり

*職員…生まれも育ちも五島列島福江島。6年間だけ島を離れ、2002年にUターン


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