二段階移住とは?魅力や注意点、失敗や後悔しないための秘訣

田舎や離島への移住に関する情報を探している際、時折目にするワードに「二段階移住」というものがあります。


文字通り、二段階で移住する方法の事を指すのですが、実際にはどういうものなのでしょうか。

この記事では二段階移住の定義や、そのメリット・デメリット、そして二段階移住を検討する際に押さえておきたいポイントについて解説していきます。

二段階移住とは?魅力や注意点、失敗や後悔しないための秘訣

二段階移住とは

二段階移住とは、その文字通り「二段階に分けて移住を完了させること」で、ステップ移住と呼ばれる事もあります。

まず、最初の段階で移住したいエリアに近い都市部に引越し、周辺の環境や現地での生活を知る事から始めます。

地方の都市部での生活に慣れてきたタイミングで、次の段階として本来移住したいと思っていたエリアの住居を購入し、移り住む。

このような二つの段階を経て、完全移住を果たすのが、二段階移住です。


二段階移住は、移住したい田舎や離島などがあるけれど、生活が急にガラリと変わる事に適応できるのか心配な方や、まずはお試し移住のような感覚で少しずつその土地の事を知っていきたいと考えている方におすすめの方法です。


まずは住みたいエリア近くの都市部に賃貸を借りて住んでみて、完全移住する決心が付いたタイミングで住みたいエリアの物件を購入するというスタイルが一般的。段階を踏む事で、移住に対する後悔や失敗のリスクを下げる事が期待できます。

二段階移住のメリット

二段階移住のメリットは大きく以下の4点があります。

以下でそれぞれのメリットについて詳しく解説していきます。


1. 最初の段階で「合う・合わない」の判断ができる

二段階移住の最も大きな魅力は、最初の段階で自分や家族がその土地での生活に合うか合わないかの判断ができるということです。

最終的に住みたいエリアの近くの都市部にまず住んでみる事で、その地域の環境や風習に自分自身が適応可能かを確かめることが出来ます。

もしその時点で何か違和感を抱いたり、合わないと判断した場合は、別の移住先を改めて探すこともできますし、移住前の地域に戻る事もできます。

段階を踏まずに完全移住をした後に、合わない・住みづらいなどと感じて後悔しても、次の移住先へ引っ越すにはまた時間や費用が掛かってしまうので、失敗や後悔する確率を下げる意味でも注目されていると言えるでしょう。

その為にも、最初の段階で住む都市部では積極的に交友関係を広げ、地元の人からの情報収集をする事を心がけるのも大切な事のひとつです。


2. 時間をかけて移住候補地について知ることができる

Uターン移住(生まれ育った地元へ戻る事)を除いた地方移住の多くのケースは、住んだことのない土地への移住となります。

もちろん、本格的な移住の前には旅行や短期滞在などで現地を知ることができますが、短期滞在と移住とでは、その印象がガラリと異なる場合も少なくありません。エリアによっては、外から移り住んで来た人を受け入れない雰囲気があるという話もよくあり、地域の人々や周りの環境に馴染めずに、数年で別の場所に引越してしまうというケースもあります。

日本の田舎の情報は、たとえインターネットで調べられたとしてもその情報量は知れていますので、実際に現地出身の方の声を聞いたり、近くの都市部から頻繁に足を運んで肌で感じたりして、移住先の事を深く知る事はとても有益です。

最初の段階で近くの都市部に住む事で、時間をかけてじっくり移住先の情報を集める事ができるようになるでしょう。


3. 移住後のコミュニティを築きやすい

最初の段階で積極的に情報収集を行うことで、地元の人々と知り合ったり、仕事や趣味を通じて仲間を作ったりする機会を得ることができ、交友関係が広がります。この土地での交友関係が広がれば、地域のコミュニティにも参加しやすくなるでしょう。

地方は、中心部と郊外で人間関係の密度が異なります。

中心部では消防団も青年団もなく、同じ町に住んでいるのにお互いに顔を知らない場合もあります。一方で郊外は、地域全体が家族や仲間のような関係になり、密に繋がっていることが多いです。

田舎の人間関係が想像できずに怖い方こそ、二段階移住を通して地域の人間関係をじっくりと築いていくことが魅力のひとつになるのではないでしょうか。


4. 徐々に田舎暮らしに慣れることができる

田舎での生活は、都市部で当たり前にあった生活とは異なる点が多いです。

例えば、公共交通機関は本数が少なく最終便も早い時間に無くなってしまったり、タクシーやデリバリーサービスが思うように利用できなかったり、深夜まで営業している飲食店やスーパーが少なかったり(無かったり)など、さまざまな点で都市部との違いに不便さを感じる可能性があります。

人によってはこの違いに楽しさを見出せるかもしれませんが、大きなギャップに疲れてしまい、ストレスを感じる人も少なくありません。

急に不便な田舎町に引越すのではなく、最初の段階でそれなりに便利な田舎の都市部に引越すことで、徐々に田舎暮らしの環境に慣れることが出来るので、移住後の生活リズムも整えやすくなるでしょう。

二段階移住のデメリット

一方でもちろんデメリットもあります。

人によりさまざまですが、一般的によく耳にするのは以下3点です。

二段階移住を進める前段階で対策を検討しましょう。


1. 通常の移住よりも費用がかかる

二段階移住は、通常の移住よりも費用がかかります。

通常の移住であれば、移住先で家を購入(または賃貸)し、1回の引越しで全てが完結するので、引越し代も住居に関する初期費用も1回分です。

しかし二段階移住の場合、引越しは2回になります。初期費用が2回分かかり、最初の段階で生活を続ける上でのランニングコストもあります。

その為、1度で移住を完結させることと比較すると、移住にかかる費用が高額になってしまうでしょう。

一方で、段階を踏まずにいきなり家を購入し家具なども揃えた後で、移住先が合わずに帰る事になった場合、二段階移住にかかる費用以上の損失が出てしまう可能性が高いので、リスクヘッジの為の費用と考える事もできます。


2. 完全移住までの時間が長い

当たり前ですが、段階を踏まずに移住してしまえば、すぐに移住先での新しい生活と地盤固めを始めることができます。

しかし二段階移住の場合は最初の段階でまず新しい生活に慣れていき、その次に更に最終移住地へ引っ越すという段階があります。

早く移住先での生活をスタートさせたいと思っている方からすると、最初の段階というのは非常にもどかしい時間に感じるかもしれません。

また、最初の土地で居心地の良いコミュニティができたり、仕事が順調に進んできたりなどを理由に、次の段階へ進むタイミングを逃してしまうというケースも少なくありません。


3. 子育て世帯は引越しの度の手続きが大変

単身や子なし世帯の場合でも少々面倒と感じる引越し時の各種手続きですが、子育て世帯の場合はその大変さが桁違いです。

お子様が保育園や小学校に通っている場合は、新しい園や学校の手続きも必要になりますし、田舎の場合はお子様を預ける保育園や幼稚園が遠方にしか無いというケースもあります。

移住時期も、新学期などの区切りの良いタイミングを見計らった上で次の段階へ進めていかなければなりません。

また、少子高齢化が進む田舎では、おうちの近所にお子様の友達になってくれそうな世代の子どもがいないという可能性もありますので、お子様の交友関係も考慮しながら、次の段階へ進めていく必要があるので、大人だけでの二段階移住と比較すると大変なことが増えてしまうでしょう。

二段階移住を成功へ導く3つのポイント

最後に、二段階移住で失敗しない為に、押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。

前述のメリット・デメリットと共に把握しておいて、最初の移住を進める前にしっかり計画を立てましょう。


最初の移住はできる限りコストを抑える

二段階移住は一般的な移住と比較してコストが高くなってしまいます。

最初の移住はあくまでも仮住まいとなるので、可能な限りコストを抑えた計画を立てる事をおすすめします。

普通に賃貸を借りるのももちろんよいのですが、家具などが揃った物件の活用や、お試し移住用の宿舎や住居を割安で提供している自治体を探すのも良いでしょう。

家族での移住の場合は難しいですが、単身であればシェアハウスを活用するのもおすすめです。


移住前に自治体の支援制度を確認

東京圏からの移住の場合は国や自治体が設けている移住支援制度を活用する事ができます。

しかし、最終移住先が支援制度を活用できる地域だった場合でも、最初の段階で住むエリアが支援制度の活用対象外の自治体である場合、国や自治体の支援を受けられなくなってしまいます。

京都府を例に挙げてみましょう。

最終的に綾部市の田舎に移住したい方が、車で20分程度の距離にあり、交通の便が良く、比較的便利な福知山市を最初の移住先に設定するとします。

この場合、福知山市は移住支援制度を設けていないので、国や自治体が設ける移住支援を受ける事ができなくなります。

同じ市町村内での二段階移住であれば関係の無い話ですが、住む市町村が段階を踏んで異なることになりそうな場合は、支援を受けられるかどうかの事前確認は必須です。


デメリットの部分でも余裕を持った移住計画を立てる

お伝えした通り、二段階移住には時間がかかります。

早く完全移住を果たしたい気持ちはわかりますが、急いで段階を進めていく事で情報収集が足りなかったり、結局完全移住後に思ったような生活を送れなかったりする可能性もあります。

一つ一つの段階でしっかり時間をかけて自身を慣らしていく事、交友関係を広げていく事、そして情報を集めて精査していく事を心がけ、余裕を持った移住計画を立てましょう。

まとめ

今回は二段階移住について、その定義やメリット・デメリット、そして失敗しないポイントなどをお話ししました。

時間やコストのことを考慮すると、最初の移住のタイミングで住みたいエリアに行く方が良いのですが、二段階移住をする事で見出せるメリットも多々あります。


リスクヘッジや不安の解消などの観点から見ると非常に魅力的な方法と言えるので、絶対に失敗したくない!という方には二段階移住がおすすめです。

移住の計画を立てる段階で、まずはスケジュール感や自身の気持ち(移住に対して期待している事や不安に思う事など)、予算などをまとめて、自身に合った移住方法を決定してみてはいかがでしょうか。

備考

更新日:2024年8月20日 


【監修】

五島市UIターン相談窓口スタッフ(長崎県五島市地域振興部地域協働課移住定住促進班スタッフ)

移住者も地元出身者もいる「五島市UIターン相談窓口」スタッフは、以下の4人。

*移住支援員…2018年に東京都からIターン

*移住支援員…2006年に結婚を機に、長崎県長崎市からIターン

*移住支援員…約17年間島を離れ2004年にUターン。福岡、広島在住経験あり

*職員…生まれも育ちも五島列島福江島。6年間だけ島を離れ、2002年にUターン

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