【後編】路線バスでめぐる五島・福江島の旅|車窓から楽しむ絶景とローカルな出会い
五島の風と自然を感じるバス旅の後編!前編に続き、残りの路線をまるっと制覇します。バスの車窓から出会えるのは、観光ツアーでは通り過ぎてしまうような手つかずの大自然や、昔ながらの穏やかな暮らし。五島の素朴で豊かな魅力がギュッと詰まったコースです。
路線によっては運行本数が限られているため、事前にバスの時間をしっかり調べて計画的にスケジュールを立てるのが楽しむポイント。
車内からのんびり景色を眺めているだけで心ほぐれる、とっておきの癒やし旅。知る人ぞ知る五島の秘められた魅力を探しに、いっしょにバスへ乗り込みましょう!
ここからスタート! 【前編】路線バスでめぐる五島・福江島の旅
特集INDEX
早朝の福江港からスタート
まだ薄暗い静かな福江港。海の向こうに神々しい朝日が見え始めた頃、「向小浦(むこうこうら)」行きのバスがやってきます。バスのステップを上がり整理券を抜き取ったら、運転手さんに1日乗車券を提示しましょう。車窓からの景色をワイドに堪能できるよう、できるだけ前方の窓側の座席をキープするのがおすすめです。
【1日フリー乗車券販売窓口】※五島市外在住の方、観光のお客様のみ利用可能
五島バス観光課(福江港ターミナル内)
住所:五島市東浜町2-3–1
営業時間(9:00~17:00)
電話:0959–72–2173
※1日フリー乗車券は「カンパーナホテル」「GOTO TSUBAKI HOTEL」の受付にて24時間購入可能です。
福江港ー二本楠ー幾久山
福江港を出発。商店街を通り抜けたら、国道384号線に合流し、変わった名前のバス停「馬責馬場(うませんばば)」の交差点を直進します。まっすぐ続くゆるい上り坂を進んだら左折。五島中央病院を経由して県道27号線に合流し、岐宿町方面へと向かいます。「鳴木場(なるこば)」からは自由乗降区間となりますが、朝早い便のため乗客はほとんどおらず、バス停を次々と通過していきます。
猪掛トンネルを抜けると、景色は一変。民家が点在する山間の道を進み、田んぼに挟まれた長い直線道路を走り抜けます。乗り換えの拠点である「二本楠(にほんぐす)」バス停で一旦停車したあとは、すぐに玉之浦方面へ向けて出発します。
途中で県道164号線へと入り、折口トンネルを抜けたら「上の平口(かみのひらぐち)」から枝道へ。田園風景が広がる静かな集落、上の平地区を往復します。元の県道に戻って少し進むと、幾久山(いつくやま)へ。上の平と幾久山は、豊富な清流や昼夜の寒暖差に恵まれた良質な米どころで、国内最大の米食味コンテストで金賞を獲得した実績もあります。機会があれば味わってみてください。
幾久山ー大宝ー玉之浦
幾久山(いつくやま)を過ぎると、ホタルやアユの遡上が見られる清流・中須川沿いを下り、中須集落へ。国道384 号線に合流し、中川トンネルを抜けると、目の前に玉之浦湾が広がります。ここで一旦国道を離れ左折し、左手に玉之浦小中学校を見ながら、静かな里山である小川集落を往復。この地区を流れる小川川では、今でもシロウオ漁が行われているほか、初夏にはホタルの姿を見ることもできます。
国道に戻った後は、玉之浦湾沿いの美しい車窓を眺めながら、くねくねとした道を進んでいきます。坂を上りきったら立谷口(たちやぐち)から、西の高野山と称される大宝寺のある大宝集落へ。ここでバスは小休止となりますが、狭い敷地内で大型バスが旋回する様子は見ものです。
その後バスは再出発し、県道50号線へ入り左折します(この先、海側の絶景や教会が見えやすくなるため、左側の席に移動しておくのがおすすめです!)。このあたりでは、田んぼが海と道路に挟まれた珍しい風景を見ることができます。
長い玉之浦トンネルを抜けると、左手に見えてくるのが井持浦(いもちうら)教会。1899年に日本で初めてルルドが造られた歴史ある教会です。乗降客がいないと一瞬で通り過ぎてしまうので、お見逃しなく!
また、観光スポットとして有名な大瀬埼灯台への登り口も素通りしますが、バスの運転手さんによると、ここで下車して歩いて灯台を見に行く観光客の方もいらっしゃるそうです。
玉之浦ー小浦
之浦湾沿いをしばらく進むと、小さな港町に到着。市役所玉之浦支所や郵便局がある玉之浦地区の中心地です。港には漁船が停泊し、トンビが優雅に舞うどこか懐かしい風情が漂います。左手には民家に紛れるように佇む玉之浦教会。遠目からも十字架が見えるので、ぜひチェックしてみてください。朝早い便ということもあり、バスは停留所を次々と通過していきます。
小高い丘を越えると現れるのが、もうひとつの港町・小浦(こうら)。なぜか外壁をピンクや紫に塗ったかわいらしい民家が点在しているのですが、運転手さんもその理由はわからないのだそう。
バスのルートからは少し外れますが、奥へ進むと島民にも人気の白い砂浜と穏やかな波が美しい小浦海水浴場があります。また近くには、県指定天然記念物の巨木「玉之浦のアコウ」もありますので、別の機会には訪れてみるのもおすすめです。「小浦」バス停でひと休みした後は、次の目的地・向小浦に向けて出発します。
向小浦(島山島)
「小浦」バス停を出発したら、玉之浦大橋を渡って島山島(しまやまじま)へ。終点「向小浦(むこうこうら)」に到着です。
五島列島に存在する大小150余りの島々の中で、10番目の大きさを誇る島山島。開拓はほとんど進んでおらず、集落があるのはこの向小浦のみです。目の前の対岸には先ほど通った小浦集落が見えていますが、1994年に橋がかかるまでは船でしか渡ることができませんでした。現在では、人口より遥かに多い数百頭もの野生の九州鹿が生息していると言われています。バス停から歩いていける向小浦園地では、運がよければ鹿の姿に出会えるかもしれません。
ここでバスが停車するので、一旦降りて海辺でひと休み。漁船が並ぶ静かな漁港にはトンビの声だけが響き、澄み切った海の中にはゆらゆらと泳ぐ魚の姿が見えます。朝の澄んだ空気と心地よい潮風に包まれ、心も身体もリフレッシュされるひとときです。
向小浦ー二本楠ー富江
「向小浦」バス停から始発に乗車。二本楠までは来た時と全く同じルートを戻りますが、進行方向が逆になるため、行きのときとは違った景色や見逃したスポットをじっくり眺めることができます。市街地に向かう上りの便ということもあり、乗客もポツポツと増え始めます。「二本楠」バス停に到着したら、運転手さんに別れを告げ、ここで待機している富江行きのバスへと乗り換えます。
発車したバスは県道31号線を少し戻り、「三叉路(さんさろ)」バス停から細い山道へと入っていきます。車がやっとすれ違えるほどの狭い峠道は、かなりの運転技術が必要とされる難所。前半の上りから後半の下りまで、坂道を縦横無尽に操る運転手さんの見事なハンドルさばきは見ものです。時折ちらりと海や平地が覗きますが、周辺は深い緑に包まれており、ここでは山ならではの景色をたっぷりと楽しみましょう。坂を下りきると、目の前に海が広がります。三叉路を右折し、海沿いの平坦な道を進むと富江の町へ。国道384号線から狭い路地へ入っていき、富江支所前を通過すれば、終点・富江に到着です。
島の日常をめぐる富江散歩
富江バス停にはレトロな待合所があり、トイレも完備されています。福江行きのバスが出るまで30分ほどあるので、ひと休みしたら近場を散策してみるのもおすすめです。時間的に遠くへはいけませんが、すぐ近くに商店街があり、ケーキ屋さんや八百屋さん、お肉屋さんなどが軒を連ねているので、ふらっと歩いてみるだけでも楽しめます。
また、富江小学校のグラウンドにあるアコウの木も見ごたえ抜群!高さ15m、幹周り6mという迫力満点の巨木ですが、アコウ特有のおどろおどろしい感じがなく、遠目で見ると大きいブロッコリーのようでかわいらしい佇まいです。
小腹が空いていたら、お肉屋さんで揚げたてコロッケを買って、アコウの木陰で一息つくのもいいかもしれません。
富江ー大浜ー福江港
待機していた福江行きのバスに乗り込みます。今回は右側の座席に座るのがおすすめ!
国道384号線に出たら、途中までは来た道を戻り、その後左折します。富江漁港と大海原を右手に眺めながら、県道49号線を福江方向へ進みます。海の向こうに見えるのは福江島のシンボル「鬼岳」。富江側から海越しに見る鬼岳もまたとっておきの美しさです。
田尾を通り抜け、福江島で一番長い902mの増田トンネルを抜けると、香珠子(こうじゅし)や大浜(おおはま)といった美しい砂浜が広がるエリアへ入ります。左手には合宿免許で人気の五島自動車学校。右手の砂浜の先には、先ほどバスに乗車した富江の町が遠くに見えます。ここからバスは内陸部へと進路を変え、市街地方面へ。
バス旅前編でも通った野々切町、本山、大円寺と進み、三尾野でいったん国道に合流。再び県道49号線に入り、商店街を抜けると終点の福江港に到着です。
福江港ー樫ノ浦
次に向かうは奥浦方面。一番早い便でも1時間ほどあるため、福江港ターミナルでちょっと休憩します。港内で昼食をとったり、今のうちにお土産品を決めておくのもおすすめ。インフォメーションセンターには珍しい観光スタンプも置いてあるので、旅の記念に押してみてはいかがでしょうか。
バスの乗り場に向かい、やってきた樫ノ浦(かしのうら)行きのバスに乗り込んだらいよいよ出発!今回は右側の座席に座るのがおすすめです。文化会館の前から商店街に入り、新栄通りから県道162号線へ。福江中学校あたりを過ぎると民家が少なくなり、どんどん山側の道へと入っていきます。
その昔、大村から潜伏キリシタンが上陸したと言われる六方(むかた)を通り、奥浦地区へ。浦頭(うらがしら)教会の入口からさらに細い山道を進むと、パッと視界がひらけて奥浦湾が目の前に広がります。マグロの養殖イカダとその向こうの対岸には堂崎教会が小さく見えます。湾沿いにさらに奥へと進むと、県の天然記念物・樫ノ浦のアコウがある小さな港町、樫ノ浦に到着です。
樫ノ浦ー観音平ー福江港
漁港の一番奥にある「廻り場(まわりば)」というバス停でUターンし、すぐに来た道を戻ります。浦頭教会の前から県道162号線に再度合流し右折。一旦県道を離れ、奥浦小中学校前の細い道路に入ります。栄林寺の前を通り、再び県道へ合流したら、静かな奥浦湾沿いを走り抜けていきます。
久賀島行きのフェリー乗り場や堂崎教会の入り口を横目に進み、真っ赤な戸岐大橋を渡ったら、小さな漁港のある戸岐集落へ。目の前にはきれいなエメラルドグリーンの海が広がります。
ここでUターンして県道に戻り、さらに奥地へ。静かな入江を眺めながら進み、右手奥の宮原教会を一瞬眺めたあと、「こんなとこにバス停が!?」と思ってしまうような細い坂道を少し登ると、終点「観音平(かんのんびら)」に到着です。
このまま山道を奥に進み、峠を越えると半泊(はんどまり)集落へ向かうことができます。島ならではの静けさに癒やされる素敵なスポットなので、機会があればぜひ訪れてみてください。
バスは山肌ギリギリに停車し、少し待機してから発車。来た道を戻り、福江港へ戻ります。プロペラ機特有のブオーンという音が聞こえたら、ぜひ空を見上げてみてください。着陸体勢に入る飛行機が間近に見られるかもしれません。
海に囲まれた福江島のバスは、海沿いや入江を縫うように走る路線が多く、内陸部にも手つかずの自然が溢れています。ローカルバスにのんびり揺られる癒やしの旅へ、ぜひ出かけてみませんか。
五島バス旅【後編】紹介スポットマップ
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