会社員から古本屋へ。五島で見つけた、ラジオMCもこなす「自分らしいマルチワーク」のカタチ - 橋本 美幸さん
長崎市での保育系の仕事を経て、2016年に五島市へUターンした橋本さん。現在は古本屋「本処てるてる」の店主をメインに、ローカルラジオ「五島FM」のMCやイベント司会など、多彩な顔を持つマルチワーカーとして活躍しています。今秋には自身が文章を手がける絵本のお披露目も控えるなど、島でやりたいことを形にし続ける橋本さんに、Uターン後の暮らしの変化や、本を通じて広がる心地よいコミュニティについてお聞きしました。
島に戻ったきっかけと、古本屋へのちいさなはじまり
お店とラジオ。心地いいバランスで営む暮らしとお金
- 移住支援員
- 実際に古本屋をオープンするまでに、どんな準備をされてきましたか?

- 橋本さん
- 2年間の準備を経て古本店を開業してからは、兼業に合わせてパート勤務へと働き方を変え、そこからさらに6年間勤めました。
当時は体力面や時間の兼ね合いで、古本屋の営業時間が不規則になる苦労もありましたが、6年かけて古本店の比重を徐々に増やし、段階を踏んで独立へとシフトさせていきました。退職の際はお世話になった会社や先輩への伝え方に悩みましたが、副業可能なパートという雇用形態を活かしたことで、無理なく移行ができました。 
- 移住支援員
- 現在はラジオMCもされているそうですね。橋本さんの主な1日のスケジュールも知りたいです!

- 橋本さん
- ラジオMC(副業)との出会いと、現在のタイムスケジュール五島テレビの「五島FM」開設の際、「本を紹介するコーナーをやらない?」と声をかけられたのがきっかけで、今では生放送や司会のお仕事に広がっています。
【橋本さんのある1日のスケジュール】
午前|ラジオの収録や編集作業
午後| 古本店の営業
毎日ラジオの仕事があるわけではないため時間的にも相性が良く、無理なく楽しく続けられています。
(※古本店開業にあたり行政の補助金等は利用していません) 
- 移住支援員
- 生活費の変化はありましたか?

- 橋本さん
- 移住前(長崎市での一人暮らし時代)と比べ、現在は実家暮らしのため食費などの生活費は大幅に抑えられています。家族が野菜を作っていたり、近所の方から「釣った魚」や「お米」などが届くおすそ分けの文化にも助けられています。
一方で、自営業としての店舗維持コスト(家賃・電気代など)や、長崎市時代には不要だった「自家用車の維持費」が新たな支出としてプラスになっています。 
本がつないでくれた島でのあたたかい輪
- 移住支援員
- 地域のつながりやコミュニティについてはどうですか?

- 橋本さん
- 中心部に住んでいますが、五島伝統の「チャンココ」文化が根付く地域で、ご近所さんとの温かい交流があります。休日の半日は家でのんびり過ごし、たまに図書館へ。自分の古本店とは違う場所で本に触れることが、良いリフレッシュになっています。

- 移住支援員
- お店では読書イベントだけでなく、ふらっとおしゃべりに来られる方も多いそうですね。初対面の方たちも自然と盛り上がれる空間になっているそうですが、これまでにお店で生まれた繋がりで、特に嬉しかった出来事はあったら教えてください!

- 橋本さん
- 月2回開催している読書イベントには、多くの移住者も参加しています。最初は「お店は一人でやるもの」と境界線を引いていましたが、本を通じて人が集まるうちに「何事も一人で進めなくていいんだ」と心が楽になりました。
お店では飲食も提供しているためおしゃべりを楽しみに来る方も多く、初対面同士でも自然と一つの話題で盛り上がれる空間になっています。 
- 移住支援員
- その中でも特に嬉しかったエピソードがあればぜひ!

- 橋本さん
- 特に嬉しかったのは、出張中にふらりと来店された島外の方が、地元民と移住者が自然に交わる様子を見て「ここは素敵な交流拠点だ」と感動してくださったこと。その方が主催する島外の地域交流・福祉イベントへ招待され、五島を飛び越えた新しい繋がりが生まれました。

- 移住支援員
- 絵本を制作されているとお聞きしました!

- 橋本さん
- 現在は絵の出来上がりの後半戦を迎えています(秋頃にお披露目予定)。文章は自身が担当し、絵は奈良出身・京都在住のアーティストが担当。アーティストの方と丁寧なすり合わせを重ねながら、製作を進めています。

- 移住支援員
- Uターンだから感じる島の変化はありますか?

- 橋本さん
- 子どもの頃から知っていたお店が高齢化で閉まっていく人口減少の寂しさはあります。それでも、自分が帰ってきた時期がちょうど「移住施策の推進」「世界遺産登録」「ドラマの舞台」などが重なったタイミングだったため、新しい人の流れやポジティブな変化を感じ、悲観することなく過ごせています。

絵本づくりのきっかけや背景
福江島の古本屋「本処てるてる」発。島を訪れる旅人の「ぼーっとするために来ました」という言葉や島の豊かな自然をきっかけに、海と空が入れ替わる一日を描いた絵本『ひっくりかえった そらとうみ』が今秋誕生します。 情報社会の中で「ただそこにいるだけでいい時間」の大切さを届けるため、クラウドファンディングに挑戦。目標を大きく達成し、島や全国の図書館の子どもたちへ絵本を届ける温かい輪が広がっています。

まずはのぞいてみて。五島で見つける自分らしい一歩
- 移住支援員
- これから島の下見を考えている方へ、メッセージやアドバイスをお願いできますか?

- 橋本さん
- 「本処てるてる」は、地元の方よりも移住者の方のほうがふらりと気軽に立ち寄ってくださいます。静かに本を眺めるだけでも大歓迎ですし、もし誰かと話したくなったら、居合わせた人たちと自然に島の話ができる温かい空気感があります。
島には多様なコミュニティがあり、それぞれ異なる「色」を持っています。ご自身に合う居場所を見つけるためにも、ぜひ下見の際は色々な場所を巡ってみてください。当店もその一つの選択肢として、気軽にお待ちしています。 
- 移住支援員
- 最後に「島で自分のやりたいことを始めてみたい」と考えている方へ、橋本さんからエールを!

- 橋本さん
- 今の五島は、ダブルワークや週末起業など、多様な働き方に挑戦している人がたくさんいるので、とても参考になる先輩が見つかりやすい環境です。
特にUターンの方は、実家や身内、昔の知人がいるというアドバンテージがある分、他の土地よりも「自分のやりたいこと」を気軽にスタートできる恵まれた環境だと思います。ぜひ一歩を踏み出してみてください。 
記事を読んで「五島市いいな」と思った方へ
移住の『わからない』を、『これなら大丈夫』に変える旅へ。移住者交流会も開催!
島の良いところも、そうでないところも。 五島の「ありのまま」に納得して、移住を決めてほしい。
そんな想いから、先輩移住者である移住支援員が島の生活スポットをご案内する「現地案内」を開催します。
橋本さんのお店がある「福江地区」ってどんなところ?
「本処てるてる」の詳細はこちら
- 本処てるてる
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Uターン後は「2年後に開業する」と目標を設定。まずは会社員として働きながら島内各所で「出張古本屋」をスタートし、今の島の状況を知ると同時に、島の人々に「これから古本屋を始める人がいる」と知ってもらう貴重な準備期間となりました。
開業準備中にはハプニングがあったそうですね